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銀行に出す月次試算表が遅いのは社内?会計事務所?日数で見分ける

・SanSaQ代表

銀行の担当の方から毎月の試算表の提出を頼まれても、会計事務所から届くのは翌月の末です。それでは社長が銀行に出せるのは、ひと月以上前の数字になります。社長は試算表だけを受け取るので、事務の方の手が遅いのか、会計事務所が遅いのかを見分けられません。

遅れの元は、事務の方の手の遅さではなく、月末から翌月の半ばにかけて事務の方に集まる請求書・領収書・入金の確認のうち、最後の1つを待つ日数かもしれません。社長は、月末からの日数を社内と会計事務所に分けて確かめると、どちらを早めればよいかを選べます。私はこの記事で、月次試算表ができるまでを日付の順にたどってから、その確かめ方を書きます。

銀行に出す試算表とは、何ですか?

銀行に出す試算表は、年に1回の決算を待たずに、その月までの会社の数字を、帳簿から項目(経理の言葉では科目)ごとに集計した表です。

試算表を決まった間隔で銀行に出すことは、「経営者保証に関するガイドライン」のQ&Aにも、会社がする報告の例として出てきます。このガイドラインは、日本商工会議所と全国銀行協会が共同で設けた研究会がまとめた指針です。Q&Aが挙げているのは、社長の個人保証に頼らずにお金を借りたい会社が、銀行から求められたときにすることの例です。その中に、年に1回の決算の報告に加えて、試算表や資金繰り表で、決算と決算のあいだの会社の状態を定期的に報告することが入っています(Q&AのQ.4-7、2022年6月の改定版)。

月次試算表は、いつごろできますか?

月次試算表ができるのは、その月の取引を帳簿に入れ終えたあとで、何日になるかは会社ごとに違います。書類がそろうのを待って帳簿に入れる会社では、最後にそろう1つの日付が、試算表の日付を左右します。

私は、架空の会社の8月分で、月末から試算表が届くまでの動きを、日付の順に並べます。この会社は現場の仕事をしていて、社長は帳簿づけを会計事務所に頼み、事務は事務の方が1人で受け持っています。

日付そろったもの・したこと
8月31日事務の方が、8月分の請求書を取引先へ出し終える
9月5日仕入先の請求書が届く
9月10日現場の方が立て替えた経費の領収書が出そろう
9月12日外注先の請求書が届く(請求書の最後の1通)
9月14日営業の方の答えがそろい、事務の方が、8月の入金がどの取引先のどの請求書の分かを確かめ終える
9月16日事務の方が、書類一式を会計事務所へ送る
9月24日会計事務所から、使い道の分からない支払い1件について質問が届く
9月27日社長が質問に答える
9月30日会計事務所から、8月分の試算表が届く

事務の方は、仕入先・外注先の請求書と、現場の領収書と、入金の確認の3つを、月末から9月の半ばにかけて1人で抱えます。請求書と領収書は、事務の方が手を動かす前に、ほかの人から届くのを待つ仕事です。入金の確認(経理の言葉では、入金の消し込み)も、通帳に出た振込の名前と請求書の宛名が合わない入金があると、どこの支払いかを営業の方が答えるまで待つ仕事になります。営業の方から聞いた行き先を書き残して、次の月に同じことを聞き直さずに済ませるやり方は、入金消込の記事に書きました。

この会社で一式を送る日を決めているのは、最後にそろう入金の確認です。月末から一式を送るまでの16日のうち、8月31日から9月14日までの14日は、請求書・領収書・答えがそろうのを待つ日数で、営業の方の答えがそろってから一式を送るまでは2日です。送ってから試算表が届くまでの14日にも、会計事務所が社長の答えを待つ3日が入っています。

月次試算表は、どうやって作りますか?

月次試算表は、その月の取引を会計ソフトに1件残らず入れてから、ソフトの集計の画面で出して作ります。たとえばパソコンに入れて使う弥生会計のヘルプは、[集計]メニューの[残高試算表]から試算表を出す手順を載せています(弥生会計 サポート情報「残高試算表の作成」)。

日にちがかかるのは、表を出す前の、月の取引を1件残らず入れ終えるまでです。事務の方がそろえた請求書・領収書と、通帳の入金と支払いの記録が、入れる取引の元になります。

会計事務所に帳簿づけを頼んでいる会社では、会計事務所の担当の方が取引を入れ、事務の方は書類をそろえて送ります。事務の方が会計ソフトに入れ、会計事務所には入れた中身の確かめを頼んでいる会社もあります。

社長は、月末からの日数を社内と会計事務所に分けて確かめます

日付を集めて確かめる役は、社長です。送った日は事務の方が知っていて、試算表が届いた日はメールや封筒に残っているので、社長はまず事務の方に聞き、答えを手帳に書きます。会計事務所の担当の方に話を聞くのは、2つの日数のうち会計事務所の側が長かったときです。私は、この確かめ方を、書類を会計事務所へ送り、試算表を作ってもらっている会社に向けて書いています。帳簿づけを社内でしている会社の社長は、「会計事務所へ送った日」を「入れ終えた日」に読み替えてください。

社長は、最後に届いた試算表の月について、月末からの日数を、社内と会計事務所に分けて確かめます。長いほうから、社長は早める先を選びます。社内の日数は、月末から、書類を会計事務所へ送り終えた日までで、会計事務所の日数は、送った日から試算表が届いた日までです。架空の会社の8月分なら、社内が16日、会計事務所が14日です。

  1. 社長は事務の方に、その月の書類を送り終えた日と、最後までそろわなかったものを聞き、その月の試算表が届いた日も確かめて、社内の日数と会計事務所の日数を手帳に1行ずつ書きます
  2. 長いほうの中身は、社内の日数が長ければ事務の方に「最後は、誰から何が届くのを待っていましたか」と、会計事務所の日数が長ければ担当の方に「書類を受け取ってから試算表を出すまでに、足りなかったものはありましたか」と、社長が尋ねます

私が架空の会社の8月分で、待っているものと、その日付を決めている人を並べると、次の表になります。

待っているもの日付を決めている人
現場の領収書領収書を持っている現場の方
入金の確認入金の行き先を知っている営業の方
会計事務所からの質問への答え答えを知っている社長
仕入先・外注先の請求書請求書を送ってくる相手
会計事務所の仕上げ会計事務所

5つの行のうち3つは、現場の方・営業の方・社長と、社内の人が日付を決めています。

日数を分けても、試算表の日付が動かない場合

1つは、社長が会計事務所との約束で、帳簿づけを何か月分かまとめて頼んでいる場合です。試算表が出る月は、書類がそろう日ではなく、その約束で決まっています。もう1つは、社長が銀行に出すと約束した日が、仕入先や外注先から請求書が届く日より前にある場合です。試算表を出す日に、まだ届いていない請求書が残ります。どちらの場合も、試算表の日付は、この記事の確かめ方では動かせません。

よくある質問

Q. 月次試算表と月次決算は、何が違いますか。

月次決算は1か月ごとに数字を締める作業の全体で、月次試算表はその作業の中で作る表です。弥生の解説も、月次決算を「1か月単位で行う決算業務」としています。その月の取引と、その月の分として帳簿に入れる費用がはっきりしたら月次試算表を作る、という順です(弥生株式会社「月次決算のやり方は?」)。在庫を毎月数えるか、1年分の費用を月ごとに分けて入れるかなど、どこまでを月ごとの締めに入れるかは会社ごとに違うので、顧問の税理士さんにお尋ねください。

Q. 会計事務所を替えれば、試算表は早くなりますか。

替えても、月末から一式を送るまでの社内の日数は、今と変わりません。社内の日数と会計事務所の日数を先に測っておけば、社長は替える先に「書類が全部届いてから、何日で試算表を出せますか」と聞いて、今の会計事務所の日数と比べられます。月末の書類集めのうち、外に頼める作業と社内に残る仕事の分け方は、経理の外注の記事に書きました。

Q. 会計ソフトを替えれば、早くなりますか。

ソフトを替えても、外注先の請求書が届く日や、営業の方が入金の行き先を答える日は変わりません。架空の会社でも、送る日は、ソフトの操作ではなく、営業の方の答えがそろう日で決まっています。ソフトの入れ替えは、社内の日数と会計事務所の日数のどちらが長いかを確かめてから考えてください。

明日やること

社長が事務の方に「最後に届いた試算表の月は、書類を会計事務所へ送り終えたのが何日でしたか」と聞いてください。社長はその日と、その試算表が届いた日を、メールの日付などで確かめて手帳に並べ、月末から送った日までを社内の日数、送った日から届いた日までを会計事務所の日数として、1行ずつ書きます。長いほうが社内なら事務の方に、会計事務所なら担当の方に、社長は次に話を聞きます。

長いほうの相手に話を聞いても、試算表を早める先を1つに選べないときは、無料のご相談をお使いください。お話はビデオ通話でもお電話でも構いません。私は、書類がどの順に誰の手を通って会計事務所へ届いているかをお聞きし、早める先の候補を1つに絞って、なぜそこなのかを口頭でご説明します。会計事務所の中での仕上げの作業と、帳簿のつけ方や税金の扱いは、ご相談の範囲の外で、帳簿や通帳のコピーもお預かりしません。その場で契約をお勧めすることはありません。

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