請求漏れ・入金遅れをkintoneで防ぐ|漏れていそうな案件だけを週1回見る
「請求したつもりだった」「入金が遅れていることに、月末まで気づかなかった」。経理や営業事務の方にとって、胃が痛くなる事故です。この記事では、kintoneで請求漏れと入金遅れ(未回収)を防ぐ仕組みの作り方を、私が支援で使っている設計の考え方で書きます。
月末に通帳と請求書を1件ずつ照らす作業そのものに時間がかかっている場合は、入金消込をエクセルのまま軽くするに、エクセルのままでできるやり方を書きました。
なぜ請求漏れは起きるのか
請求漏れが起きる場所は、次の2つに分けて見ると探しやすくなります。
データが分かれている。 受注はExcel、請求は会計ソフト、入金確認は通帳と記憶——と情報が分かれていると、「受注したのに請求していない」案件は、どこにも表示されません。表示されないものには気づけません。
確認が人の記憶に頼っている。 「あの件、そろそろ入金のはず」と覚えていられるのは、件数が少ないうちだけです。件数が増えると、記憶に頼った確認は静かに崩れます。
設計の原則: 仕組みに「断定」させない
先に、この仕組みの設計で外せない判断を書きます。「請求漏れです」と断定する仕組みは作りません。 SanSaQがお約束の2つ目に置いている「システムに断定させません」も、同じ考えから来ています。
実務には例外があります。前受金の案件、請求を待ってほしいと言われている案件、分割で請求する案件。断定する仕組みは、こうした例外のたびに間違った知らせを出します。間違いが続くと、現場はその知らせを見なくなります。
作るのは、「漏れていそうな案件を抜き出し、人が確かめる」仕組みです。
作り方: 3ステップ
ステップ1: 受注と請求を同じ番号でつなぐ
受注(案件)のレコードと請求のレコードに、共通の案件番号を持たせます。ルックアップや関連レコードで両者を結び、「この案件の請求はどれか」を番号でたどれる状態を作ります。ここができていないと、この先の確認はどれも作れません。
ただし、関連レコードは詳細画面で見るためのもので、一覧の絞り込みには使えません。そこで、案件の側に「請求番号」の欄を置きます。請求を作ったら、その番号が案件の側にも入るようにしておきます。手で書き写す運用でも、請求のアプリから自動で書き写す作り込みでも構いません。
ステップ2: 「疑い」の条件で一覧を作る
確かめたい疑いを、一覧の絞り込み条件として保存します。一覧を保存できるのは、アプリの管理権限を持つ人です。基本は次の2つです。
| 疑い | 一覧の条件 |
|---|---|
| 請求漏れの疑い | 作業が完了しているのに、案件の請求番号が空 |
| 入金遅れの疑い | 入金予定日が入っていて、その日を過ぎているのに、入金日が空 |
入金遅れの条件には、「入金予定日が空ではない」も必ず加えてください。「今日より前」だけで絞ると、入金予定日を入れ忘れた案件まで一覧に出てきます。
条件は最初から完璧を狙わず、「明らかにおかしいものだけ引っかかる」ゆるい設定から始めるのがコツです。
ステップ3: 週1回、人が一覧を確かめる
確かめる人を1人決めます。請求書を出している事務の方が向いています。その方が週1回一覧を開き、本当に漏れていれば請求し、入金が遅れていれば取引先に確認します。例外だった場合は、理由を残して「確認済み」にします。
そのために、一覧を作ったアプリに「確認の状態」という欄を置きます。選択肢から選ぶ形(ドロップダウン)にして、初期値を「未確認」にしておきます。一覧の条件に「確認の状態が未確認」を加えておけば、確かめたものは次から出てきません。
理由の欄も、「前受金」「分割で請求」「請求を待ってほしいと言われた」のように選ぶ形にしておくと、どんな例外がよく出るかが見えてきます。それが、条件を直すときの材料になります。
続けるためのコツ
- ゼロ件でも週1回開く。 開く習慣が消えると、この仕組みは止まります
- ゼロ件が何週も続いたら、条件のほうを疑う。 条件の元になる日付や状態の入り方が変わると、漏れがあっても一覧に出てこなくなります。わざと条件に当たるテスト用の1件を作り、一覧に出てくるかを確かめてください
- 一覧に出た件数を責めない。 出るのは、仕組みが動いている証拠です。責めると、現場は理由を書かずに「確認済み」へ変え、一覧から消すようになります
- 最初のうちは、精度より続けることを優先する。 条件の調整は、回しながらで十分です
この形が向かない場合
請求書を会計ソフトだけで作っていて、kintoneに請求の記録が無い場合は、ステップ1が作れません。その場合は、請求の記録をどこに置くかを先に決める話になるので、この記事の範囲では扱いません。
明日やること
つなぐ・抜き出す・人が見る、の3つのうち、最初は「つなぐ」です。案件(受注)の側に、請求番号を入れる欄があるかを確かめてください。無ければ、欄を1つ足すところから始めます。疑いの一覧を作るのは、そのあとで間に合います。
お使いのkintoneで、どこで番号が切れているかを一緒に見たいときは、無料のご相談で今の組み方を伺い、最初に直す場所とその理由をお伝えします。設計や設定の作業は、範囲を決めてお見積りしてからです。その場で契約をお勧めすることはありません。
初回は30分ほど、ビデオ通話かお電話で。資料の添付は不要です。3営業日以内にメールでご返信します。