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ChatGPTの情報漏洩が心配なら、学習を止める設定を社員の画面で確かめる

・SanSaQ代表

社員が、元請の名前や現場の住所を入れたまま、報告書の文面をChatGPTで整えています。その情報が学習に使われて漏れないのかを説明できなければ、社長は社員に「大丈夫」とも「使うな」とも言い切れません。

OpenAI(ChatGPTを作っている会社)が会話を学習に使うかどうかは、契約の種類と学習の設定で決まります。社長は、その設定を、社員の画面の「データコントロール」で確かめられます。この記事では、社長が設定を確かめるまでに出てくる問いに、順に答えます。答えの元にしたのは、OpenAIの公式のヘルプ(使い方の説明のページ)と契約の条件、個人情報保護委員会の注意喚起で、どれも2026年9月時点の内容です。

ChatGPTに入れた情報は、学習に使われますか?

使われる場合があるのは、無料やPlusなど個人向けの契約で学習の設定をオフにしていないときと、ログインせずに使うときです。ここでいう学習とは、OpenAIが会話を、AIを改善するための材料に使うことです(OpenAIのヘルプ)。2026年9月のヘルプをもとに、使い方ごとに分けて次の表にまとめました。

使い方学習に使われるか
会社向けの契約(Business・Enterprise)初めの状態では使われない
個人向けの契約(無料・Plusなど)で、学習の設定がオン使われることがある
個人向けの契約で、学習の設定がオフオフにしたあとの会話は使われない(回答の評価を送った会話は除く)
一時チャット(履歴に残さない使い方)一時チャットのままなら使われない(保存すると、ふだんの会話と同じ扱いになる)
ログインせずに使う何もしなければ使われる

Businessは、2025年8月29日にTeamから名前が変わりました。

社員が個人向けの契約で、設定をオンのまま使っているなら、毎日の会話も学習の材料になりえます。社長の心配が当たるのは、この場合と、ログインしないで使う場合です。オフにすれば、そのあとに始めた会話は、回答の評価を送らない限り、材料に回りません。評価のことは、設定の見方を書いた節で触れます。

学習を止めていると社員に言える根拠は、何ですか?

会社向けの契約ならOpenAIとの契約の決まりが、個人向けの契約なら、学習の設定がオフになった画面と、止め方を定めた利用規約とヘルプが根拠になります。会社向けの契約に当てはまるOpenAIのサービス契約には、会社が明示的に同意しない限り、入れた内容をサービスの開発や改善に使わない、という決まりがあります。

個人向けの契約で結ぶ利用規約のほうは、会話などの中身を、サービスを改善するためなどに使う場合があると定めたうえで、学習に使ってほしくなければ、ヘルプに書いた手順で止められる、としています。どちらも2026年1月1日から効力のある版です。会社向けの契約では、OpenAIが、使わないことを初めから契約で約束しています。個人向けの契約は、OpenAIが使うことを前提にしていて、止めるのは使う人の操作です。根拠の重さは、そこで違います。ヘルプの説明は変わることがあり、この記事のために読み直した日にも、学習の説明のヘルプは、その1時間前に更新されていました。

この根拠で言えるのは、会話が材料に回らないことまでです。2023年6月2日に個人情報保護委員会が出した注意喚起は、会社が生成AIに個人情報を入れる場面について、確かめることを挙げています。そのうち画面で分かるのは、提供する会社が学習に使うかどうかです。個人情報を入れることが、会社がその情報について決めた使い道(利用目的)に合うかどうかは、画面を見ても分かりません。

学習に使われると、情報漏洩につながりますか?

入れた情報が学習に使われると、よその人への答えに混じって出てくるおそれが残ります。個人情報については、先の注意喚起で個人情報保護委員会も同じおそれを挙げ、ほかの情報と結びついて、正しい内容でも誤った内容でも生成AIから出てくることがある、と注意しています。

OpenAIの説明では、AIは学習に使った文章の写しを持たず、たくさんの文章から、言葉どうしがどう並ぶかを覚えます。OpenAIは、学習に使う前に、個人に関する情報を減らす処理もしています(同じ説明による)。写しを持たないことと、よそに出ないことは別です。情報漏洩の心配の中身は、ここにあります。

学習をオフにしても、送った文章はOpenAIに残りますか?

オフにしても、社員の送った文章は、OpenAIの側に届いて会話の履歴に残ります。学習の設定で止められるのは、材料に使われることまでです。送った文章が送った先に届くことは、どの設定を選んでも変わりません。

履歴は、社員が消すまでアカウントに残ります。社員が会話を削除すると、会話は画面からすぐ消え、OpenAIも30日以内に、保管している分を消す予定です(ヘルプ)。ただし、すでに個人が分からない形にしてアカウントから切り離したものと、安全を守るためや法律上の義務で長く残すものは、例外です。履歴に残さない一時チャットでも、OpenAIは安全のために、その写しを最長30日は保管する場合があります(一時チャットのヘルプ)。

法律上の義務で残った例もあります。2025年、OpenAIは、米国の新聞社との訴訟への対応で、無料・Plusなどの個人向けの契約とTeamの会話を、削除されたものも含めて保管し続けました。OpenAIは2025年10月22日のお知らせで、その義務は9月26日に終わったものの、2025年4月から9月までの一部は引き続き保管すると書いています。

個人向けの契約の履歴は、会社が契約して管理しているものではありません。本人が消さない限り、社員が辞めたあとも残ります。会社のメールアドレスで作ったアカウントは、辞めてそのメールアドレスが使えなくなると、本人もアカウントと中のデータに入れなくなります(ヘルプ)。そうなると、残った履歴を本人が画面から消すこともできなくなります。

ChatGPTの会話を、OpenAIの人が見ることはありますか?

個人向けの契約でも、会社向けのBusinessでも、OpenAIの担当者が会話を見ることはあります。個人向けの契約で会話を見るのは、権限のある少数の担当者と、秘密を守る義務を負う委託先です。目的は、不正な使い方や事故の調べ、問い合わせへの対応、法律への対応、学習の設定がオンならAIの改善に限られ、見る範囲も目的に必要なところまでです(個人向けサービスにおける OpenAI のデータの取り扱い)。

Businessの会話も、許可を受けたOpenAIの社員が、技術の面の支援や不正の調べ、法律を守るために見る場合があります(会社向けの説明)。OpenAIは個人向けの説明の中で、見られたり使われたりしてほしくない機密は入力しないよう、利用者に求めています。

私自身は、会社向けの契約のAIを使うときでも、クレジットカードの番号、口座番号、パスワードのたぐいは入れていません。万が一漏れたときに、そのまま被害になるからです。

ChatGPTの学習を止める設定は、社員の画面のどこで確かめますか?

社長は、パソコンなら、「設定」の「データコントロール」にある学習の項目(2026年9月の画面では「モデル改善に協力する」)が、オフになっているかで確かめます。

どの契約で使わせるか、学習の設定をどうするかを決めるのは、社長です。ここでは、会社としてはBusinessやEnterpriseを契約しておらず、社員が自分のアカウントにログインして、無料版やPlusで使う会社を前提にします。

社長は、ChatGPTを仕事で使っている社員の横で、設定の画面を一緒に開いて確かめます。社長が見るのは設定の画面だけで、会話の中身は開きません。パソコンの画面では、次の順です(2026年9月に確かめた画面とヘルプによる)。

  1. 社員が、画面の左下に出ている自分の名前(アカウントメニュー)を押して、「設定」を開きます。社員がログインせずに使っているなら、次の節の場合に当たります
  2. 社員が「データコントロール」を選びます(ヘルプによっては「データ管理」と書かれています)
  3. 社長は、学習についての項目がオンかオフかを見ます。ヘルプでは、この項目は「すべての人のためにモデルを改善する」と書かれています

スマートフォンのアプリでの順番は、ヘルプ「ChatGPT のデータ管理」に載っています。パソコンとスマートフォンで同じアカウントを使っていれば、この設定は端末にかかわらずアカウント全体に効くので、社長はどちらか一方の画面で確かめれば足ります。

オンになっていたら、社長がその場でオフにすると決めて、社員に切り替えを頼みます。オフにした日からの新しい会話は、学習に使われません。ただし、同じヘルプの最後の質問と答えには、オフにしていても、回答の評価のボタン(親指のマーク)を押した会話は、まるごと学習に使われる場合がある、と書かれています。そこで社長は、親指のマークを押さないことも、その場で社員に伝えます。

オフの画面に、利用規約とこのヘルプの説明を添えれば、社長は、その社員が親指のマークを押していない会話について、学習に回らない根拠にできます。

社員の画面で確かめるだけでは足りないのは、どんな会社ですか?

社員がログインしないまま使っている会社と、預かった情報を社外のサービスに入れないと取引先に約束している会社です。

ヘルプの説明では、ログインしていない状態の会話は、初めから学習に使われます。止める設定はそのブラウザ(インターネットを見るソフト)に結びついていて、ブラウザに残った記録(Cookie)を消したり、ブラウザや端末を変えたりすると、元に戻ります(ChatGPT ホームページ)。社長が確かめた日にオフでも、社員がブラウザの記録を消した日から、会話はまた学習に回ります。

取引先と約束している会社では、社員が預かった情報をChatGPTに打ち込んだ時点で、学習の設定にかかわらず、取引先との約束に反します。契約書のどの決まりに当たるかは、この記事では答えを出しません。

明日やること

社長は、仕事にChatGPTを使う社員の一人に声をかけて、設定の画面を開いてもらい、隣で、学習の項目のスイッチがオフかどうかを自分の目で確かめます。オンのままなら、社長はその場で社員に頼んでオフに切り替えてもらい、親指のマークは押さないよう伝えます。オフになった画面を見た日から、社長は、その社員の新しい会話が、評価を送ったものを除いて学習に使われない理由を示せます。

画面を確かめたあと、どの仕事で何を入れてよいかを社員に伝えるのは、社内ルールの側の話です。その決め方は、社内ルールを1枚の表で作る記事に書きました。元請に出す報告書のように、社員がChatGPTに頼っている仕事そのものを社長が見直すなら、無料のご相談をご利用ください。報告書の前と後で、仕事がだれからだれへ渡っているかを伺い、どこから直すとよいかを、そう考える理由と一緒に口頭でお伝えします。ご相談の場では、どの契約でChatGPTを使わせるかや、取引先との契約書の読み方は決めず、お客さまの名簿やパスワードもお預かりしません。その場で契約をお勧めすることはありません。

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