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AIで手順書(マニュアル)を作る|書く時間が取れない担当者は話して残す

・SanSaQ代表

たとえば、春で辞める事務の方の横で、月末の請求書づくりを引き継ぐ人が、作業を見ながらメモを取っています。辞める方の手は速く、引き継ぐ人のメモは追いつきません。社長は辞める方に手順書を頼んでいますが、辞める方は毎日の仕事で手一杯で、書く時間を取れずにいます。

手順書は、担当者が話してAIがまとめる

AIで手順書を作るなら、担当者の仕事は2つに絞ります。作業しながら話すことと、AIがまとめた手順を確かめることです。文章にまとめるのはAIで、足りないところを書き足すのは引き継ぐ人です。手順書ができあがったかどうかは、引き継ぐ人がその手順書だけを見て、同じ作業を一度やりきれるかで決めます。

担当者に書く時間が取れないのは、怠けているからではありません。慣れた作業ほど、担当者は手順を意識せずに手を動かしていて、机で思い出しながら書くと抜けが出やすくなります。作業しながら担当者が話すと、手を動かす順に言葉が出てきます。

AIで手順書を作るときは、5つの手順で進める

どの作業から始めるかは社長が決めます。話すことと確かめることは担当者が、やってみて書き足すことは引き継ぐ人が受け持ちます。

1. 手順書にする作業を1つ選ぶ

最初の手順書は、1つの作業に絞ります。社長は「月末に請求書を出す」のように、始まりと終わりがはっきりした作業を選びます。

2. 作業しながら話してもらい、録音する

担当者が次にその作業をする日に、社長か引き継ぐ人が、横でスマートフォンの録音を回します。担当者は、いま何をしているか、なぜそうするか、どこで迷うかを、声に出しながら作業を進めます。画面で操作する作業なら、担当者は、どの画面のどのボタンを押したかも口に出します。

取引先の名前や金額を読み上げる場面がある作業は、その録音をどのAIに渡してよいかを、社長が先に決めておきます。決め方の目安には、生成AIの社内ルールの作り方の表が使えます。

3. 録音を文字にし、AIに手順の形へ整えてもらう

録音した人が、録音を文字にする機能(文字起こし)で文章にし、その文章をAIに渡します。iPhoneなら、iPhone 12以降の標準のボイスメモで、日本語の録音を文字に起こし、そのままコピーできます(Appleの説明。iOS 18以降の案内で、一部の国や地域では使えません)。頼むときは、たとえば次のように書きます。

これから貼るのは、月末に請求書を出す作業を、担当者が話しながら行ったときの文字起こしです。作業の順に、番号つきの手順書に整えてください。迷うところと、例外のときの判断は、手順とは分けて「迷ったら」の欄にまとめてください。文字起こしに出てこない手順は足さず、分からないところには「確認」と書いてください。

4. 担当者が1行ずつ確かめる

AIが整えた手順書を、担当者が読みます。文字起こしにない、よくある一般的な手順を、AIが書き足している場合があります。書き足しが起きる理由は、AIが嘘をつくのはなぜ?で説明しています。担当者は、自分が言っていない手順を消します。AIや文字起こしが別の言葉に置き換えた社内の呼び名は、担当者がいつもの呼び名に戻します。

5. 引き継ぐ人が、手順書のとおりに一度やってみる

引き継ぐ人が、手順書だけを見て、次の月末にその作業をします。担当者は横にいて、聞かれるまで口を出しません。引き継ぐ人が手を止めたところに、担当者が付箋を貼ります。請求書を送る前には、担当者が中身を確かめます。作業が終わったら、担当者が付箋のところを説明し、引き継ぐ人がその説明を手順書に書き足します。

迷ったときの判断は、担当者の言葉で残す

迷ったときの判断は、手順書の「迷ったら」の欄に、担当者の言い方のまま書きます。AIがまとめられないのは、担当者の頭の中にある判断だからです。「この取引先の請求書だけは、紙でも郵送する」「金額がいつもと違ったら、営業に確かめてから出す」といった判断は、担当者が口にしない限り、録音にも出てきません。

手順5で付箋が貼られたところの説明は、手順の中に書き足すものと、「迷ったら」の欄に書くものに分かれます。判断にあたるものは、引き継ぐ人が、担当者の言い方を変えずに欄へ書き写します。

私が支援で作った仕組みを担当の方へ引き継ぐときも、厚い手順書をお渡しすることは目的にしていません。手順と、迷ったときの判断の基準を、御社の手元に残すことを目的にしています(お約束の4つ目)。

録音から手順書にするやり方が合わない作業もある

毎回やり方が変わる作業は、録音しても、次に同じ順番では起きません。

読み上げると、お客さまの住所や従業員の健康のこと、取引先から預かった秘密が出てくる作業もあります。月に一度の作業で、辞める日までに、録音する回と、引き継ぐ人がやってみる回の2回がそろわない場合もあります。こうした作業には、録音から始めるこの進め方は使えません。

よくある質問

Q. AIで業務マニュアル(手順書)は作成できますか。

作成できます。ただし、AIが作れるのは手順書の形のほうで、中身は担当者の話からしか出てきません。担当者が話し、担当者が確かめ、引き継ぐ人がやってみて、はじめて手順書として使えるものになります。

Q. 録音をAIに渡すと、中身が学習に回りませんか。

回るかどうかは、使うAIの契約の種類と設定で決まります。法人で結ぶ契約では、入れた内容を学習に使わないと公式に説明しているAIもあります。各社の説明へのリンクは、生成AIの社内ルールの作り方に載せています。

Q. 引き継ぎ資料には、何を書けばいいですか。

1つの作業を引き継ぐなら、手順と、迷ったときの判断の2つです。手順は作業の順番に並べ、判断は「迷ったら」の欄に分けておくと、引き継ぐ人は作業中は手順を、困ったときは欄を見れば済みます。

Q. 作った手順書は、いつ直せばいいですか。

引き継ぐ人の手が止まったときです。止まったところを、その日のうちに引き継ぐ人が書き足します。担当者が辞めたあとは、引き継いだ人が手順書を直していきます。

明日やること

明日、辞める予定の担当者が毎日の作業のどれかをするときに、社長か引き継ぐ人が横で、スマートフォンで録音してください。担当者は、手を動かしながら、その手元の作業を声に出して説明します。月末の本番の前に、話しながら作業する形に、担当者と録る側が慣れておくためです。

引き継ぎの日が迫っていて、どの作業から手順書にするか迷うときは、無料のご相談にお申し込みください。担当の方にしか分からない作業のお話を中心に、仕事の受け渡しを伺います。どの作業から手をつけるとよいかと、その理由は、口頭でお伝えします。その場で契約をお勧めすることはありません。

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